株式会社E-TEC
オフィシャルブログ

月別アーカイブ: 2025年8月

第14回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社E‑TEC、更新担当の中西です。

 

さて今回は

電気工事のあれこれ~感電防止~

 

感電は「高圧だけが危ない」ではありません。100V/200Vでも条件次第で致命的になり得ます。要は電圧×通電時間×人体を流れる経路作業環境。本稿は、現場で今日から徹底できる“型”に絞ってまとめます。各社の安全基準・法令・元請基準に必ず適合させて運用してください。


原則(これだけは守る)

  1. 原則停電:活線作業は最終手段。

  2. 無電圧の確認は“三動作”
     ①テスター自己確認 → ②対象回路で無電圧確認 → ③再び既知の活線でテスター再確認

  3. 隔離・施錠・表示(LOTO):遮断→エネルギー隔離→ロックアウト・タグアウト→鍵管理。

  4. 短絡接地:必要な設備では短絡接地具を確実に装着。

  5. 養生と立入管理:充電部は絶縁カバー、作業区画は立入禁止で二重化。


感電リスクの見立て方(5つの観点)

  • 電気的条件:電圧、残留電荷(コンデンサ・UPS)、漏電の可能性、逆潮流。

  • 環境:湿潤(雨・結露・洗浄)、狭隘姿勢、金属粉塵、足元の導電。

  • 機器状態:絶縁劣化、端子の弛み、仮設配線、老朽盤。

  • 系統構成:二重給電、非常電源、太陽光・蓄電池の自立運転。

  • 人的要因:焦り・疲労・思い込み・複数班の同時作業。

→ リスク高は停電前提、中は隔離+遮へい強化、低でも確認を省略しない


手順:停電〜復電の“型”

  1. 作業範囲の定義:図面に蛍光ペンで“境界”をマーキング。

  2. 遮断・隔離:主幹/分岐の遮断→誤投入防止の施錠→タグ。

  3. 無電圧確認(三動作):必ず適合した検電器/テスターで。

  4. 短絡接地・養生:高圧・受変電は短絡接地、低圧でも露出部は絶縁カバー。

  5. 作業許可:責任者のサインで着手。復電の合図系統を事前取り決め。

  6. 復電前の点検:工具置き忘れゼロ、端子締結トルク、カバー復旧、警告札回収。

  7. 試運転:単独復電→計測→段階的に負荷投入。立ち会いで音・におい・温度を確認。


検電器・テスターの正しい使い方

  • 選定:対象電圧・周波数・直交波(インバータ出力)に適合。

  • 自己確認:作業前に必ず既知の活線で点灯/数値確認

  • 接触手順:片手操作を基本に、端子へ確実接触。非接触型は補助用途。

  • 校正・点検:定期校正/電池残量/リード破断の有無を点検。

  • 三相回路:相順確認を忘れず、異常時は復旧前に原因特定。


個人用保護具(PPE)と工具

  • 絶縁手袋:規格適合・耐圧クラスを選定、インナー手袋併用で汗対策。

  • 絶縁靴/長靴絶縁マット:湿潤環境・屋外は必須。

  • フェイスシールド/保護眼鏡:遮へい+開閉器操作時は常用。

  • 耐アーク衣:高エネルギー回路や開閉操作では検討。

  • 絶縁工具(VDE 等):ドライバ・ペンチ・トルクレンチを絶縁仕様で統一

  • 梯子・足場FRP梯子を基本、金属梯子は活線近傍で不可。


シーン別の要点

① 屋内低圧(分電盤・器具付け)

  • 主幹を落として母線に絶縁カバー、盤内は工具・部材の置きっぱなし厳禁。

  • ジョイントは圧着後の引張確認、端子は規定トルクで二度締め。

② 屋外・仮設電源

  • 漏電遮断器の適正、防雨ボックスアースを確実に。

  • ケーブルは接地面から浮かせ水たまり・ゲリラ豪雨を想定した取り回し。

③ 受変電・高圧

  • 停電計画→短絡接地器取付→立入管理

  • 誘導電圧・容量性残留電荷に注意、検電棒は該当電圧器を使用。

④ 太陽光・蓄電池・EV充電

  • PVは日照で常時起電遮光カバーと端子の短絡防止

  • 蓄電池は残留電圧・化学的リスクに留意、メーカ手順を厳守。

  • EV充電器は接地抵抗・絶縁監視を確認し、通電試験は立会いで。

⑤ データセンター/UPS・非常電源

  • 二重給電・UPSの逆給電に注意。片系停電でも背後から通電し得る。

  • コンデンサの放電時間を手順書に明記、待ち時間を守る


ヒューマンファクター対策

  • 5分停止ルール:不明点が出たら一旦手を止め、復唱・指差呼称。

  • メンバー固定:日替わりメンバーは誤投入の温床。責任分担を明確化。

  • 工具の見える化:数入りトレーで持出→返却を可視化(置き忘れゼロ)。

  • 熱中症・疲労管理:WBGTや休憩時刻を時刻固定で運用。


事故時の初動(簡易フロー)

  1. 電源遮断(可能なら遠隔・ブレーカ)。

  2. 絶縁物で接触解除(素手で触れない)。

  3. 119通報/AED手配心肺蘇生を直ちに開始(訓練者がいれば交代)。

  4. 二次災害防止:立入禁止・復電禁止・現場保存。
    ※日頃から救命講習模擬訓練を。

 

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第13回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社E‑TEC、更新担当の中西です。

 

さて今回は

電気工事のあれこれ~担い手~

 

再生可能エネルギー、EV充電、データセンター、レトロフィット(省エネ改修)——電気工事の需要は拡大しています。一方で現場は高齢化・人手不足・安全負荷の上昇という“三重苦”。このギャップを埋める鍵は、担い手の採用・育成・定着を一気通貫で設計することです。本稿は「理念」より実務に効くやり方に絞ってまとめます。


1|電気工事の仕事はこう変わっている

  • 仕事の幅が広い:動力・弱電・情報通信・計装・制御、そして保守点検まで。

  • 求められる免許・資格(例):第二種/第一種電気工事士、電気工事施工管理技士(1・2級)、電気主任技術者など。

  • デジタル前提:タブレット図面、写真帳票の電子化、BIM/CAD、現場のIoT機器。

  • 安全と品質の同時追求:感電・災害・熱中症リスクの高度管理、トレーサビリティの厳格化。

→ 結論:「手が動く」だけでは不十分。学び続けられる人を増やす設計が必要。


2|ペルソナ×キャリアラダーで“居場所”を用意

  • 現場電工:配線・器具付け・盤まわり。

  • 施工管理:工程・原価・安全・品質・図面調整。

  • 設計・積算:配線計画・機器選定・仕様整理・見積。

  • 保守・保安:点検・更新提案・省エネ診断。

  • デジタル支援:BIM/CAD、写真管理、ドローン・点群、帳票自動化。

各ペルソナに3–5年の到達像と賃金テーブルを用意し、「どこを目指せば評価が上がるか」を明確にします。


3|採用:誰を、どう口説くか(即実装メニュー)

  1. 高校・専門校ルート

  • 授業内出前講座+“模擬配線体験”(LED・スイッチ・三路をその場で点灯)。

  • 奨学金返済支援資格受験費全額会社負担を明記。

  1. 未経験・社会人転向

  • 「90日オンボーディング」を約束(詳細は後述)。

  • 工具支給・作業着支給・直行直帰OKなどを求人に“見える化”。

  1. 女性・ミドル層

  • 体力負荷の高い工程はユニット化・仮組で負担軽減。

  • トイレ・更衣・防寒/暑熱対策の設備写真を求人ページに掲載

  1. シニア・再雇用

  • 週3日・短時間で教育専任ロールを用意。目先の“即戦力”より技能の継承に軸足。

  1. 採用ページに載せるべき要素

  • 1日の流れ/現場写真/年収レンジの実例/評価基準/支給する工具リスト/資格ロードマップ/表彰制度。


4|育成:90日オンボーディング雛形

  • 0–30日:安全・工具・基本結線(VVF/EM-EEF・三路・ジョイント)、写真帳票の作法。

  • 31–60日:図面の読み方、配管・配線の段取り、小規模範囲の一人施工、是正対応。

  • 61–90日:小班のリーダー体験、出来形と原価の見方、発注・納材の流れ、資格対策(2種→1種のステップを提示)。

運用のコツ:技能マトリクス(人×技能×レベル)を作り、現場配属を“育成優先”で決める。メンターは固定し、週1回15分の1on1を必ず。


5|定着:4つの約束

  1. 安全最優先:朝礼のKY、感電・墜落・熱中症の数値管理

  2. 予測できる働き方:工程の前倒し協議、直行直帰、宿泊・出張手当のルール明文化。

  3. 見える評価:資格・段取り・品質・育成貢献でポイント制→賞与と連動。

  4. 道具をケチらない:インパクト・検電器・絶縁保護具は会社支給/更新サイクル固定


6|生産性×安全を両立させる打ち手

  • ユニット化/プレハブ化:盤内配線・器具板の先行仮組で現場時間を短縮。

  • 標準手順書(動画付):器具付け/結線/通電試験の“型”を統一。

  • 写真管理の徹底:電子黒板アプリで出来形・是正の即日クローズ

  • 共同購買:ケーブル・器具の価格変動に備え、地域同業と購買連合。

  • 暑熱対策:送風機・空調服・WBGT計、休憩ルールを時刻で固定


7|地域エコシステムで“担い手づくり”を仕組みに

  • 産学連携:学校と「配線実習台」を共同整備。技能五輪やコンテストへ出場。

  • 行政・元請との協働適正工期・適正単価の場づくり(施工計画の前倒し協議会)。

  • 地域イベント:子ども向け“電気で光る工作教室”で職業の見える化

 

 

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